2019年05月20日

イメージを手繰り寄せる

Study5のプロジェクトが一段落ついて、ブログについてまた考えている。

シャトーの地下の展示がほんの9時間程しか公開出来なかった。それはそれで良いのかもしれないが、アーカイブとして何か展示の小冊子でも作れないだろうか。冊子を作る上で、展示についてのテキストを書き起こしておこうと思ったので、このブログにまた書いて行くことにする。プロジェクトはまだ終わっていないようだ。

ドローイング『水晶の夜』

このドローイングには、漢字の「夜」が散りばめられている。友人の2005年のペインティングを写真で眺めていた時に、この「夜」を思いついた。友人は所謂、数を数える「正」の字を画面に敷き詰めて描いていた。それに対するオマージュとして、当初、このドローイングに『Night vs. Right』というタイトルをつけた。

設置の時に、この額装されたドローイングは床に落ちた。ちょうどその時、ドローイングから離れたところに私は背を向けて作業をしていた。落ちた瞬間、ガラスが割れる音が空間に木霊したので、すぐに何が起こったか察しがついた。状態を確認すると、アルミのフレームは幸い曲がってなかったが、ガラスの切り傷などがドローイングにあり、紙は傷んでいた。私は、気持ちが少し凹んでしまったのだが、ガラス屋から、当日中にガラスを切り出してもらえることがわかり、展示出来そうで取り敢えず少しホッとした。

それから、仕切り直しに昼食に向かった。ドローイングのことをずっと考えていた。頭の中では、ガラスが割れる音が空間に広がる様子がずっと鳴り響いていた。1938年11月9日夜から10日未明にかけて「水晶の夜」をここで思い出した。この運命は、ドローイングがイメージを獲得するための必然の出来事だったのではないかと思った。そうして、タイトルは『水晶の夜』となったのである。

展示構成を考えながら、割れて床に散らばるガラスも含め、どのように展示しようか考えた。最初は、割れたガラスを展示に使うか迷った。ガラスが割れた同じ場所に、新しいガラスを入れたこのドローイングを展示することにした。

展示が終わって、今またドローイングのことを考えている。紙のコラージュは窓のようにも見え、夜を振り撒いて闊歩する死神と人々の叫びが、ガラスが割れる音と重なって行く。そして、Night,、Right、Lightと、最初に想像したタイトルから、また一つ言葉が喚起された。

イメージは作るのではない、手繰り寄せるのである。

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posted by Agetsuma at 00:23| Comment(0) | 描くこと

2019年05月12日

一区切り

8日の午前、羽田へモノレールで向かった。多摩川河口から撮影したモノレールから、今度は多摩川河口を眺めた。東京湾へ飛行機が飛び立った。東京湾を低空飛行で大きく旋回し、北へ向かった。海面に機影が映っていた。東京のビル群は強い日差しでコントラストが強く、墓場のように見えた。航路はどんどん北へと向かって行く。通常は、越後山脈を越え、日本海へ向かうのだが、今回は違った。磐梯山上空から山形上空を通った。窓からは奥羽山脈や鳥海山を眺めることができた。また鳥海山の奥に飛島があることを感じた。どこのポイントか忘れてしまったが、日本海の奥にまばゆい光を見た。なるほど、この航路は北朝鮮が数日前にミサイルを発射したためだとそこで気付いた。まばゆい光はミサイルではなかったが、次の日、9日に確かにミサイルを発射している。その後、陸奥湾から北海道に入り、稚内を通って海に出た。利尻島が印象的だった。自分の席から樺太は見えなかった。

今回の55回目で取り敢えず、Tarl - Study5のブログも一区切りをつける。今まで、Blogを書いたことはなかった。手探りの中始め、Tarl-Study5の講座へ向けて最初は書いていたのだが、途中からそうでもないことを感じ、振り返りも含め自分の為でもあったと思う。また最後に行った展示では、今まで書いてきた言葉を書き出したら、展示に沢山のイメージを与えてくれ、この半年以上の形が現れたのは嬉しかった。紆余曲折しながら、多くの気付きがあり、最後まで続けることが出来たことは、Study5に関わった人々が多くの問いかけを与えてくれたからだと思う。本当に感謝したい。このまま続けて行くか、またゆっくり考え、出来れば次の段階として何か書いて行ければ良いと思っている。有難う。

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posted by Agetsuma at 01:43| Comment(0) | 日記

2019年05月11日

最後に見たもの

短い山形の滞在だった。帰ってすぐに兄の家族を含め、夕飯をとった。次の日の朝、家の庭でタバコを吹かした。日差しと新緑が気持ち良かった。友人から聞いた情報を元に早速、家の玄関先にあるヤツデの葉を調べた。なんと8枚葉のヤツデの葉を見つけた。縁起が良い。母と庭にある植物について話した。また、兄夫婦と子供がシャボン玉と共に保育園に提出する写真を撮っていた。自分が子供の頃の懐かしい風景を思い出した。ただ、こんな風景もいつかは無くなってしまうのだろうなと思った。

東京に戻り、5日に地下作品の写真撮影、また、植木屋の友人が再度遊びに来てくれた。そして6日の午前からビデオを撮影をした後、午後、作品を撤去した。7日は、作品のパッキングと発送作業をした。昨年にこのプロジェクトの為に送ったドローイングをパッキングしようと改めて見た。そこには「Drüben」と額に文字が刻まれていた。忘れていたので、思わず「おっ」と心で叫んだ。展示のテキストで最初に「向こう側に」と書いた。ちゃんとこのドローイングを送ったことからこの展示は始まっていたのだ。そして、最後に後片付けを行なっていた時、展示で使用したセイヨウカラシナが残った。花は落ちることなく、まだ眩しかった。どうしようか迷ったが、勝手に置いて帰るわけにもいかないので捨てることにした。茎を折ろうとしたがとても硬かった。摘んでから11日経った花はまだ息をしている。寧ろ、強さを増しているようだった。この「最後に見たもの」で展示が完成されたことを実感した。

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posted by Agetsuma at 02:08| Comment(0) | 展覧会

2019年05月01日

散歩

今、山形へ向かっている。ちょうど福島の駅を通り、街並みの奥には安達太良山にまだ雪が被っているのが見える。雨上がりだからか空気が澄んでいるようだ。展示が終わって、次の日から撮影、搬出と立て続けにやるつもりだったが、急な工事が入って出来なかった為、昨日シャトーの作品だけ撮影、搬出をした。

撮影の予定の前に、友人を呼んだのだが、自分が展示会場について、色々と工事のスケジュールと撮影出来るスケジュールについてやり取りしているうちに彼は会場に着いてしまった。なので2Fの展示のみ今日は案内した。もう搬出された作品が多い中、自分の作品を見せながら、作品のこと、プロジェクトのことなどゆっくりと話した。彼は、懐かしい感じがする空間と搬出中の空間に対して言っていた。

せっかくなのでシャトーの向かいのお寺の花を植木屋の親方である彼と見てから、環境学習館裏の庭園を散歩した。あまり整えられてない野放しの誰もいない庭を彼は気に入っていた。私は、ここぞとばかりに花木、草の名前をクイズ形式で彼に質問をした。面白いことに、彼が仕事している時に見るような木が、ここでは2、3倍にもなっていたこともあって、彼の答えが曖昧になることがあった。「見ること」について、今回の大きい写真と何気ない散歩が繋がって見えた。

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posted by Agetsuma at 18:15| Comment(0) | 日記

2019年04月26日

録音

音について書くのは久しぶりだろうか。今日は夜に多摩川で録音をした。19時ぐらいから始めた。生暖かく湿度が高い夜だった。案の定、虫達は最初は良く鳴いていた。虫が何処かに行ってしまう前に、テスト録音をした後、一発で録ろうと決めた。茂みにマイクを向けるとレベルオーバーする程、ジージー鳴いていた。撮る時はコミュニケーションを大事にしている。虫とも会話すること。虫の生態を「描く」ように撮ること。

川の陸橋沿に大きな高層マンションが2つ立ち並んでいた。その眩しい光がずっと周りを照らしていたので暗闇からは程遠かった。雲の上で飛行機が何度も飛び交っていた。車やモノレールの音、カエルや鳥達の予測できない鳴き声。音が様々に反射していた。一度、遠くから女の人の叫び声が聞こえた。だんだん近づいて来た。何やら歌いながら自転車を漕いでいるようだ。歌は叫びのようであったし、どんな言葉かわからなかった。通り過ぎて、ふと目線を斜め左に向けると、女の人が見えた。一人だった。帰りに大きく育ったセイヨウアブラナを摘み、自転車のカゴに入れた。もう一台隣に自転車があるぐらいはみ出していた。家に帰りドアの前の傘立てにそれを挿した。黄色が眩しい。

録音したものを聞いた。思いのほか広範囲のレンジに音が散在していたため、少しソフトウェアでイコライジングしてみた。案の定、音が死んだ。なのでいつも通り録ったままの音で、映像に重ねてみた。少し尖っていた音が映像と重なり良い意味で煌めいた。今回使う機材との掛け合わせもいいように感じた。ほぼ思い通りの音場になりそうだ。

音が入るとイメージもまた膨らむ。まだまだビデオの編集は終わってないのだが、疲れたので明日の為にビールを飲んで寝ることにする。明日が勝負か。また寝れないのかな。。。。否、友人の勧めでちゃんと搬入前に寝るようにしよう。細かい調整は直前まで出来る。

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posted by Agetsuma at 02:25| Comment(0) |